大日本ダイヤコンサルタント株式会社
1 . 気仙沼大島大橋(愛称:鶴亀大橋)
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宮城県気仙沼市の「緑の真珠」気仙沼大島。2011年の東日本大震災では長期間の孤立を余儀なくされるなど甚大な被害を受けたこの島に、2019年4月、住民長年の悲願であった「希望をつなぐ架け橋」が開通しました。
橋長356m、アーチ支間長315mの鋼中路式ソリッドリブアーチ橋であるこの橋は、津波被害を受けないよう想定津波高より高い位置にアーチリブの基部を配置し、放物線を描くシンプルなアーチが本土と大島との間の海を一跨ぎします。
維持管理や復旧性について考え抜いた橋梁でもあります。塩分付着等を少なくするため、アーチリブや桁は全て閉断面(箱)かつ溶接接合として凹凸を極力小さくするとともに、内部の点検が容易となるようルートや通路開口サイズも検討しました。 気仙沼の美しい自然景観の中において主張し過ぎず控え目に、アーチという構造の持つ美しさを感じてもらえるよう、細部形状もシンプルかつバランス良く納めています。
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2 . 気仙沼湾横断橋(愛称:かなえおおはし)
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東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトと位置づけられた三陸沿岸道路のうち、気仙沼湾を横断する箇所に架かる橋が気仙沼湾横断橋です。当社ではそのうち海上部680m(中央支間長360m、東北地方最大)の斜張橋の設計・デザインを行いました。「気仙沼湾の象徴となり、自然豊かな風景と調和した地域の発展・復興を支える橋」となるよう、「維持管理しやすく、想定外の事象に対しても損傷が制御され、かつ美しい形態の橋」を設計コンセプトに設定しました。
桁裏面の点検が容易となるケーブル1面吊り構造とした上で、ねじり剛性や耐風安定性に優れた扁平六角形箱断面桁、弱点となる凹凸部を減らした全断面溶接継手、容易な点検を可能とするルートや開口など気仙沼大島大橋での経験・思想を受け継ぎながら、さらに、設計の想定を超える規模の事象が生じた場合にも全体系の崩壊に直ちにつながらないようにするダメージコントロール設計を行いました。
シンボリックな存在となる2本の主塔は、ケーブル1面吊りという構造特性をシンプルかつまとまりのある形で表現するよう丁寧にデザインしました。上部の1本から2本に分かれる箇所のラインをスムーズかつ滑らかにつなぎ、桁下部では安定感のある柱幅を持たせ、その下のコンクリート橋脚(津波時の漂流船舶が鋼製主塔に衝突しない高さ)も含めた全体で形状バランスを取っています。
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3 . 築地大橋
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隅田川には、その時代の最新技術を用いた多様な橋梁が架けられており、地域のランドマークとして良好な都市景観を形成しています。築地大橋は海から隅田川をさかのぼった最初に架かる「第一橋梁」として、東京の顔としての象徴性を勝鬨橋から引き継ぎ、2018年11月に開通しました。東京都市計画道路環状2号線の一部となる、橋長245mの鋼3径間連続中路式アーチ橋です。
歩道側に傾斜させたアーチリブと、車道を支える吊材、歩道を支える鉛直材で断面方向に三角形を形成することで、地震時には面外座屈を抑制しアーチリブ断面をコンパクトに抑えることを可能とし、またアーチ橋特有の上横支材を取り払って開放的な橋上空間を実現しました。 歩道は傾斜したアーチリブの平面投影に合わせて緩やかにカーブさせることで歩く楽しみを演出させるとともに、見晴らしの良い眺望により、ひとときの憩いを都市に生み出しています。